環太平洋都市を対象とした大気汚染軽減施策評価


概要

  世界の様々な都市においては,その都市独自の大気汚染が見られる。中国のように固定発生源からの寄与が高い所もあれば,自動車由来が高い割合を占める都市もある。また,都市の地理的(盆地であるとか),社会的(法整備や経済状況,都市の主要産業や自動車流通)要因により,大気汚染の現状も異なってくる。さらには,それぞれの都市で独自の大気汚染軽減施策(例えばシンガポールのロードプライシングや,東京のディーゼル締め出し等)が取られてきており,今後受容されていく施策には対象とする都市の特性が大きく影響すると考えられる。本題目では,実際のいくつかの都市を対象として,大気汚染の現状と,影響因子の把握,さらにその都市の持つ独自性を比較評価し,各都市に今後導入すべき大気汚染軽減施策の検討評価を行う(調査解析系)

図:世界様々な都市における二酸化窒素濃度(micro g/m3)
Data from World Resources 1998-1999
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 なぜこのような研究が必要なのか?
大気汚染と一概に言ってもそのレベルは国ごと都市ごとに大きく異なり,そこには様々な要因が大きく働いています。そのため,現況で問題となっている事柄を工学的,法律的,地理的,歴史的,社会的にと,多方面より包括的に把握することが重要といえるのではないでしょうか。また,それぞれの都市で取られている,また今後取られうる大気汚染軽減施策を考えていく際にも,そうした包括的視点が求められるでしょう。本題目はそのような包括的現況把握及び施策評価を実際の各都市を対象として行い,より良い施策提案へ繋げていくためのものといえます。

 

 今後の研究発展性は?(特に大学院進学を考えている学生さんへ)
本題目はAPRU(環太平洋大学協会)の研究課題(Environmental Sustainability in Pacific Rim Cities:  The Challenge of Air Quality)の一環として行なうことを考えています。本課題にはアメリカ,チリ,シンガポール,タイ,日本の若手研究者が参加しており,またその研究分野も,地理学,社会科学,法律,工学と広範囲に渡っています。このような多方面からのアプローチの一翼を担うことで,幅広い視野からの工学研究ができるものと期待しています。


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