農業に起因した環境汚染対策評価 |
概要都市に対する食料供給は農村における生産活動により賄われている。然しながら,都市に生活する我々は,離れた場所での農業活動で排出される環境負荷に目を向けることなく,都市での食生活を享受しているといえる。本題目では農業活動のもたらす環境負荷やリスクを定量評価する,もしくは負荷低減施策に関するテーマを提案する。例えば,施肥などに伴う面源負荷軽減に向けた経済的施策(排出権取引等)の適用といった内容や,農業活動に伴うトータル環境負荷(水,農薬,肥料,エネルギー,廃棄物等)の定量評価といったテーマに加え,4年生からの独自の題目案も歓迎する。(解析or調査系) |
![]() 日本の農家で実際に使われていた韓国の農薬(内容成分がわからないままに良く効くといって持ち込まれている) |
都市における固定排出源からの環境負荷に対しては,排出基準を設けるなど既に様々な施策がとられてきています。これに対し,水田・畑など面源からの負荷を削減するのは簡単ではありません。農業の分野では,農家の利潤追求と,環境負荷削減施策とが対立することも多く,これまでのように単純にトップダウン式に規制を設けるといった施策が,簡単には受容されない素地があるといえます。そうした中,そもそも農業活動において,水,廃棄物,エネルギー,リスクといった総合的環境負荷が,どれ程あるのかを把握し,農家も含め社会に受容されうる適切な負荷削減施策を提案することが求められています。本課題は,そのような立脚点に立ち,題目のテーマとして,トータルの環境負荷把握,または農業廃棄物の有効管理手法の提案や,面源負荷削減への経済的手法(排出権取引)の導入,といった内容を考えています。
![]() 図:農業におけるトータル環境負荷把握コンセプト例 |
![]() 図:排出権導入研究の例 (花木研究室で扱ったもの) |
上述したように本研究はこれから様々な方向への発展性が考えられます。環境負荷把握のところから始めて,経済的施策へ展開していくことも可能ですし,農業廃棄物のマスフロー把握からスタートし,管理施策への展開や,リスクなどへの対象領域の拡大,といった展開も考えられます。農業活動自体は極めて多種多様であり,またローカルなケーススタディーから,グローバルな視点からの農業負荷把握まで,様々なスケールでの研究展開が考えられます。