【1】 低炭素社会の実現に関する研究(非実験)
世界全体として約50%、先進国として70〜80%におよぶ二酸化炭素の排出削減を2050年を目標にして実現しなければならないと言うことについて国際的にも共通認識が広がっている。しかしその一方で、どのようにしてその低炭素社会を形成するかと言うことについては、どの国もまだ明確な道筋を示し得ていない。人間活動が集中している都市の場は二酸化炭素排出の大きい源になっていると同時に削減の可能性も大きい。さまざまなアプローチが考えられるが、以下のようなテーマが可能である。
a) 低炭素都市の誘導とその効果に関する研究
都市計画の場において、この1〜2年低炭素都市を目指す必要性が急速に浮上してきたが、実際にどのような政策が有用であるか、定量的な解析はなされていない。土地利用の誘導による戸建て住宅から集合住宅への転換、都心居住の促進の効果などを評価する。あるいは都市内で発生するバイオマスの有効活用による二酸化炭素排出削減効果を評価する。
b) 都市と後背地の二酸化炭素排出量の国際比較
都市における二酸化炭素の排出量はその都市の活動状況により異なるが、国によっても異なる。これらを比較することによって、それぞれの都市における二酸化炭素排出削減の可能性を明らかにする。その際、都市の中心部(東京では23区)のみならず、後背地を含む地域(東京だと1都6県)の両方を取り上げる。後者の場合には地域内に工業地帯、また森林による九州も含まれる。現在、キャンベラ都市圏、コペンハーゲン都市圏と東京圏との比較研究を国際共同研究として開始している。
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